技能の習得レベルを国が評価する技能検定
国家資格や民間資格の他に、日本には「技能検定制度」というものがあります。
技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、建設関係や金属加工関係、食料品関係など、全部で130職種の試験があり、試験に合格すれば「技能士」と名乗ることができます。
通常の国家資格に比べ認知度は低いものの、優れた実務経験を有することの証明にもなるため、企業によっては資格手当が出たり、50代からの再就職に有利になる可能性もあります。
技能検定制度とは
技能検定制度とは、業務知識や技能などを国が評価・証明する国家検定制度のことで、職業能力開発促進法に基づき1959年度より実施されているものです。
全部で130職種の試験がありますが、試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」を名乗ることができます。
「技能士」は、業務独占資格ではなく名称独占資格なので、この技能検定に合格しなければ特定の業務に就けないというわけではありません。
そのため、他の国家資格に比べると「技能士」の認知度は低いという現実がありますが、どのくらいその業務に熟練しているかの証明にもなるため、企業によっては昇給昇格に繋がったり、転職や再就職の際に有利になることもあります。
また、独立・開業する際にも名刺などに記載することができ、顧客からの信用・信頼を得やすくなります。
技能検定の種類
技能検定職種は130もの職種がありますが、大きく下記に分類されます。
建設関係:(32職種)
窯業・土石関係:(1職種)
金属加工関係:(19職種)
一般機械器具関係:(11職種)
電気・精密機械器具関係:(8職種)
食料品関係:(7職種)
衣服・繊維製品関係:(8職種)
木材・木製品・紙加工品関係:(6職種)
プラスチック製品関係:(2職種)
貴金属・装身具関係:(2職種)
印刷製本関係:(3職種)
その他:(31職種)
技能検定の等級区分
技能検定試験は、現在、特級、1級、2級、3級に区分するもの、単一等級として等級を区分しないものがあります。それぞれの等級区分は次のとおりになっています。
【等級を区分するもの】
特級 : 管理者または監督者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度
1級 : 上級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度
2級 : 中級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度
3級 : 初級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度
【等級を区分しないもの】
単一等級 : 上級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度
(※これらの区分以外に外国人研修生を対象とした随時2級、随時3級及び基礎級があります。)
技能検定の受験資格
技能検定の試験を受けるには、原則として検定職種に関する実務経験が必要です。
必要とされる実務経験の年数は以下のとおりです。
特級: 1級合格後5年以上
1級: 7年以上
2級: 2年以上
3級:6か月以上
単一等級: 3年以上
※必要年数は、職業訓練歴や学歴等により短縮される場合があります。
詳しくは厚生労働省のホームページにてご確認いただくか、最寄りの都道府県職業能力開発協会へお問い合わせください。
技能検定の試験内容
試験は、国(厚生労働省)が定めた実施計画に基いて、検定職種ごとに実技試験及び学科試験が行われ、両方の試験に合格することで技能士の資格を得ることができます。
試験問題等の作成については中央能力開発協会が、試験の実施については各都道府県がそれぞれ行うことになっていますが、受検申請書の受付、試験実施等の業務は各都道府県職業能力開発協会が行っています。
また、都道府県職業能力開発協会が実施する職種(111職種)と指定試験機関が実施する職種(19職種)について、それぞれ試験の実施日程、受検申請方法、試験の内容などが異なります。
詳細は厚生労働省のホームページでご確認ください。
技能検定を受けるメリットとは?
技能検定に合格すると、「技能士」を名乗ることができますが、業務独占資格ではなく名称独占資格なので、他の国家資格に比べると認知度は低いという現実があります。
しかし、優れた技術や知識を習得していることを国が認定しているという証明になるため、自らのキャリアアップになったり、企業によっては資格手当の対象になることがあります。
また、50代からの転職や再就職の際にも、特定の職種において技能士の資格保持者は有利になります。
中途採用を募集する企業は、即戦力として経験者を優遇する傾向があるからです。
独立・開業する場合でも、国家資格のひとつである「技能士」は、名刺やホームページに記載することができ、顧客からの信用や信頼を得やすいといったメリットがあります。
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